ジェンスパーク(Genspark)の「指示忘れ」対策:Claudeに復唱させてミスを防ぐ実践術
目次
はじめに
ジェンスパーク(Genspark)でWebアプリを開発していると、こんな経験はありませんか?
- 「さっきデプロイ手順を説明したのに、また聞いてくる」
- 「重要な設定を伝えたはずなのに、次の会話では忘れている」
- 「毎回同じ注意事項を繰り返すのが面倒」
この問題は、AIのコンテキストウィンドウの限界と長期記憶の不足が原因です。
本記事では、Claudeモデルに「復唱」を義務付けることで、指示忘れを劇的に減らす実践的なプロンプト術を紹介します。
AIの「指示忘れ」問題とは
コンテキストウィンドウの限界
LLM(大規模言語モデル)は、一度に処理できる情報量(コンテキストウィンドウ)に限界があります。
- Gemini 2.0 Flash Thinking:約32,000トークン
- Claude 3.5 Sonnet:約200,000トークン
しかし、会話が長くなると、古い情報は優先度が下がり、事実上「忘れられる」のです。
開発現場での具体例
私が実際に遭遇した「指示忘れ」の例:
- デプロイ手順の失念:「メールアドレスとAPIキーでCloudflareにアクセスして」と伝えたのに、次回デプロイ時には別の方法を試みる
- 命名規則の無視:「全角括弧は使わず、半角括弧を使う」と指示したのに、数回後には全角に戻る
- 重要事項の見落とし:「修正前に必ずバックアップを取る」と念押ししたのに、いきなり修正を実行
- 復唱したのに実行しない:「〇〇の手順で実施する」と復唱してくれたのに、実際には別の方法で実行してしまう
つまり、復唱だけでは不十分で、理解して実行することまで明示する必要があります。
解決策:復唱プロンプトの導入
「復唱」の威力
人間同士のコミュニケーションでも、重要事項は復唱して確認します。これをAIにも適用します。
実際のプロンプト例
重要:クラウドフレアにはメールアドレスとAPIキーでアクセスしてください。
アクセス情報はAPI認証情報フォルダにあります。
重要:重要事項の復唱をしてください。復唱するだけでなく、内容を理解し、実施してください。
復唱しなかったら忘れているものとみなします。
復唱プロンプトの効果
このプロンプトを導入した結果:
- ✅ デプロイ手順のミスが激減
- ✅ 重要な設定を忘れなくなった
- ✅ 会話の冒頭でAIが「理解した内容」を明示してくれる
- ✅ 復唱したことを実際に実行してくれるようになった
なぜ「理解し、実施してください」が重要なのか
当初は「復唱してください」だけでしたが、復唱したのに実行しないケースが頻発しました。
例:
私:「メールアドレスとAPIキーでCloudflareにアクセスしてください」
AI:「承知しました。メールアドレスとAPIキーでアクセスします」(復唱)
実際:API TOKENを使おうとする(復唱したのに実行しない)
この問題を防ぐため、「内容を理解し、実施してください」を追加することで、AIに実行責任を明示しました。
なぜClaudeに復唱が有効なのか
LLMの「注意機構」の特性
LLMは、最近の発言と強調された情報に高い注意を払います。
「復唱してください」という指示により、AIは該当情報を自分の発言として再出力します。これにより:
- 情報が会話履歴の最新位置に移動
- AIの内部表現で強化される
- 次回の応答時に参照されやすくなる
Claudeの特性との相性
Claude 3.5 Sonnetは、指示に忠実で文脈理解に優れる特性があります。
復唱指示を与えると、確実に復唱してくれるため、コンテキスト維持に最適です。
さらに、「理解し、実施してください」を追加することで、AIは復唱内容を行動指針として認識し、実際の実行時にも参照してくれます。
履歴蓄積戦略との相乗効果
以前の記事で紹介した「履歴蓄積戦略」(詳細はこちら)と組み合わせると、さらに効果的です。
二段構えの記憶システム
| 手法 | 効果 | 対象 |
|---|---|---|
| 復唱プロンプト | 短期記憶の強化 | 現在の会話中の重要事項 |
| 履歴蓄積戦略 | 長期記憶の補完 | 過去の会話全体の記録 |
実践例:デプロイ手順の確実な実行
- 初回:「Cloudflareへのアクセス方法」を説明し、復唱させる
- 品質チェック:履歴蓄積システムに記録
- 次回デプロイ:履歴から過去の手順を参照し、復唱で再確認
→ デプロイ失敗率が激減
まとめ
復唱プロンプトの4大メリット
- コンテキスト維持:重要情報が会話の最新位置に移動
- ミス予防:AIが「理解した内容」を明示してくれる
- 実行保証:復唱したことを実際に実行してくれる
- 効率化:「何度も言わせるな」問題が解消
今すぐ使えるテンプレート
重要:[ここに重要事項を記載]
重要:重要事項の復唱をしてください。復唱するだけでなく、内容を理解し、実施してください。
復唱しなかったら忘れているものとみなします。
復唱の副次的な効果
復唱の利点は、AIの物忘れ防止だけではありません。以下のような副次的な効果もあります:
1. ハルシネーションの可視化
本来ユーザー側が知ることができなかった、ハルシネーションの影響を可視化できます。
復唱を使用していると、AIが段々復唱内容を要約してきたり、削除してきたりするのが確認できます。AIが忘れているか、忘れそうかなど、大体予想がつくようになることも復唱の効果です。
2. 簡潔な指摘が可能
復唱内容を実施していなかったとき、「復唱を確認してください」の一言で済むようになります。
長々と説明し直す必要がなく、AIに復唱内容を参照させるだけで修正を促せます。
3. 簡単な記憶の再生
復唱が行われなかったとき、前の復唱をコピペすれば、簡単に思い出させられるます。
重要な指示を再度タイピングする手間が省け、効率的に作業を進められます。
次のステップ
このテクニックを使って、ジェンスパーク(Genspark)での開発をさらに効率化しましょう!
AIの性能が進化すれば、こんなことが必要にならなくなるかもしれませんが、あと数年はAIの物忘れとうまく付き合っていくことが必要になりそうです。